小さい頃には英語を話してたのに忘れちゃった
帰国子女のお子様に多いのが、「昔は英語話してたのにねー(ため息)」というパターン。
小さい頃は、臨界期前の柔軟な脳みそでどんどん言葉を吸収し、英語で話せば英語で普通に会話し「しめしめバイリンガルに育ってくれた」とほくそ笑んでいたのもつかの間、日本に帰国したとたんに、英語をぱったり使わなくなりすっかり忘れてしまった、という残念なケース。一度ぬか喜びしてしまったゆえに、親御さんの落胆もひとしおです。
じゃあ、どうしてこんなことが起こるのでしょう。理由として考えられるのは、
1.「使わなければ忘れる」は、自然の摂理
2.記憶を文字まで落とし込んでいないから
まずは一つ目の理由、1.「使わなければ忘れる」は自然の摂理 について解説します。
こんな風に言ってしまうと元も子もないのですが、人間の記憶というのは忘れるためにあるといっても過言ではありません。人間は嫌なこと、不要なことを忘れるようにできています。つまり、使わない言葉というのは、忘れてよいもの。「脳が忘れろ」と命じて忘れることによって(指示忘却といいます)、大切な記憶がすぐに取り出せるように脳内を整理しているのです。記憶力が良い人は、この脳内の整理整頓が上手な人。記憶の取り出し方のコツを体得している人になります。そのコツには、イラストと一緒に覚える人、物音で覚える人、匂いで覚える人などがいますが、ほとんどの方はこれらの組み合わせの力を借りると、記憶を定着しやすいようです。五感をうまく使うというのがポイントのようです。
私の大好きなアメリカドラマ『NCIS』には、ビショップという名の超優秀な捜査官が出てくるのですが、彼女は食べ物(食感)で記憶するタイプです(笑)
次にもう一つの理由、2.記憶を文字まで落とし込んでいないから、について。
子どもが小さい頃に覚える言葉というのは、主に耳からの記憶で成り立っています。しかも多くの場合は無意識に覚えていますので、脳内の無意識脳の部分だけ。右脳か左脳かといえば、主に右脳だけの記憶になります。
そうなると、とても不安定なあいまいな記憶になりやすく、後で呼び出そうとしてもなかなかどこにあるのか分からない。これを整理整頓して使いやすい記憶にするために最も簡単な方法は文字とともに記憶することです。文字を介するというのは、目で見て文字を判別し、手を使って書く(もしくはタイプする)、文字を音読して発音する、と五感と脳をフル活動させることになり、その分記憶に定着しやすくなるというわけです。
小さい頃は、まだ文字の読み書きを習得する途中であるため、幼児期に海外にいて英語を話していても、すぐに忘れてしまう。逆に読み書きまで到達していたお子様は、帰国後も比較的忘れずに英語力を引き続き伸ばし続けることが容易にできます。なので、帰国する前に、いかに楽しく絵本読みまで導入していくことができるかが、ポイントになります。
実はこの2点、帰国子女じゃなくてもとっても重要。
なぜなら、幼児期の学習について、大きなヒントが隠されているからです。もう一度言いますね。
1.「使わなければ忘れる」は、自然の摂理
2.記憶を文字まで落とし込んでいないから
使わなければ忘れる、ということは、裏を返せば「使えば忘れない」
そうです。使えばよいのです。幼児で覚えたら、英語を使い続ける環境を整えましょう。大きくなっても忘れないように定着させるコツは、そう!五感をフル活用させることでした。目で見て、耳で聞いて、手で触って、口で味わって、匂いを嗅いで、ということを意識した学習を継続すればよいのでしたよね。キーワードは、継続と五感。
英語で工作をしたり、クッキングをしたり、という経験を継続できたら、一番いいですね。
また、記憶を文字に落とし込む、という点では、お子様と一緒に絵本読みをすることが一番の近道です。お休み前の読み聞かせはしていますか?もし、読み聞かせしているなら、レパートリーに是非英語の絵本も加えてみてください。お気に入りの絵本を何度も読んでいるうちに、読んだ言葉と文字とが一致してきます。それにお子さんが気づくまで根気よく続けられたらしめたもの。そのうちお子様一人で読みたくなって、文字を読みだすきっかけとなりますよ。まずは読み聞かせの継続をお願いします。
英語で工作やクッキングを習わせたりなんて無理!
そう思っているお母さまも大丈夫、安心してください。
英語の読み聞かせを継続していけばよいのです。
お母さまが楽しく読んでくれたら、お子様もきっと自分で読みたくなり、やがて音読し始めます。それまで忍耐、忍耐。ご自分の英語の学習と思って、根気よく英語絵本の読み聞かせ、継続してみてくださいね。でも決して文字を意識させないで。
その理由は⇒こちら
英語絵本の読み聞かせ、どうやってやったらよいのか、こちらに詳しく書いておきましたので、ご一読ください。
絵本の読み聞かせについて、詳しくは⇒こちら