When pigs fly 豚と台風と食糧危機
台風10号が過ぎ去りました。今年もこれから大きな台風が続くのでしょうか。
人的被害、農産物への被害が心配です。
さて、英語で when pigs fly という言葉をご存知でしょうか。
直訳すると「豚が飛ぶ時」
豚は普通飛びませんから、ありえないことを示す言葉です。
when pigs fly
—used to say that one thinks that something will never happen
引用元:Merriam-Webster
誰かがあり得ないような話をした時に、when pigs fly と付け加えたりします。
そのあり得ないことが、起こったのが、1959年の伊勢湾台風の時。 台風の強風で豚がふっ飛んでいったわけではなく、台風により甚大な被害を受けた日本に対する援助物資として、アメリカ・アイオワ州から豚を飛行機に乗せて生きたまま日本に送る「ホッグ・リフト(Hog Lift)」というプロジェクトが実行されました。日本で豚を繁殖させる目的で、豚の飼料となるトウモロコシ1500トンも同時に寄贈されました。この時輸送された35頭の豚から繁殖を繰り返し、最後の一頭が死ぬまでには50万頭まで増殖したと試算されています。
台風で被害にあった日本を米国が救った美談として語り継がれていますが、このプロジェクトには、もうひとつの側面があります。
日本でも従来から養豚は行われていましたが、このプロジェクトまでは豚の種類も飼料も異なる方法で行われていました。
が、これを契機に米国式の養豚が導入され、養豚の飼料は一気に米国産のトウモロコシへと切り替わり、米国からの輸入が増加、養豚農家が減った今では餌だけでなく豚肉そのものも米国から大量に輸入することになるのです。
戦後79%にまで回復した日本の食料自給率は、この時をピークに2018年には37%にまで低下しています。
食料の6割以上を海外に依存している日本。
パンデミックや戦争などで食料がまったく輸入できなくなった場合、餓死者が出てもおかしくない状況ですよね。なんとかしなくては。
ところで、豚が飛ぶといえばジブリ映画に『紅の豚』というクールな飛ぶ豚の映画がありましたね。あの発想はもしかしたら、When pigs fly という言葉から生まれたのかな。
台風が来るたびに、日本の食糧危機について思いをはせて頂けたら嬉しいです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。