J-Shineのシンポジウムに参加しました。
毎日暑い日が続きますが、朝晩ふと秋らしい風を感じる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
さて、夏休みも終盤のこの週末に、J-Shine(小学校英語指導者認定協議会)のシンポジウムが行われ、私も参加してまいりました。今日はそのご報告をいたします。
これまで小学校での英語教育は、教科という位置づけではなく正式には「外国語活動」として、楽しい体験を通して、外国語を習得するための素地を作ることを目的に行われ一定の成果をあげて来ました。子どもたちは、外国語でコミュニケーションをとることを楽しいと感じ、英語ができるようになるのを楽しみに中学に進みますが、中学では英語が嫌いになってしまう子どもも少なからず存在し、中学校の教師からみても、楽しい体験を重ねても知識になっていない生徒たちに、どこから英語の授業をスタートすべきか判断が難しい、という悩みがありました。これを解決するために、2020年からは小学校英語のスタートを早め、さらに5、6年生は正式な教科へと格上げすることで、小学校のうちに一定の知識を得てから中学へ進み、小学校と中学校の連携を強めていく、というのが今回の「教科化」の狙いです。
しかし、これには、大きな問題があります。
小学校で教える人材が不足しているという問題。それから、どのように評価したら良いのか、という問題。
国の計画では、中学、高校の授業もまた、基本的に英語で英語の授業を行うことになりますが、これに対応するための準備もまた順調に進んでいるとは言えない状況です。
現場の先生方は、もちろん個々人レベルで努力を重ねています。実際に、英語で授業を行っているという教師の数は年々増加をたどっています。しかしながら、生徒の英語の力は伸びていない(2015/2016年は若干の後退)のが現状で、その原因は教師が英語で話すことに重点を置くあまり、授業が音読やリピートなどに重点が置かれ、生徒の判断力や表現力を問うような授業になっていないことになると推測できます。また、実は教師自身の英語力も伸びていないのが現状です。大学入試が4技能で行われるようになるからには、このままではいけないことは明白です。
中学、高校の問題はひとまず置いておいて、小学校英語の問題を考えてみましょう。
小学校英語では、体験をとおしてコミュニケーションの必要性を提供し、子どもに考え自ら気づかせることに重点を置いた体験型アクティブラーニングを提供してきました。かつ、取り上げるテーマも与えらた教科書に沿ったものではなく、教科横断型のテーマで限られた自分の知識を総動員して、考え、判断し、表現することを求められる内容が優れた指導法と言われています。私はこの指導法は、全ての教科に置いても有効な理想的な方法だと考えています。しかし、こうした方法が取れるのは、英語の専科教員に授業を丸投げするのではなく、小学校の担任がともに授業を作り上げるからこそできること。ですが授業数がこれからどんどん増える中、すべての授業に担任が深く関わっていくのは、現実的ではないかもしれません。
では、誰が小学校英語を教えればいいのでしょうか。
やはり、担任の先生と密に情報を共有しあい、子細に打合せが可能な日本人の地域人材の活用がもっとも現実的だと思います。J-Shineの資格取得者は、そうした場面で活躍していきたいと考えています。
次の問題は、評価方法の問題です。
手っ取り早いのは、ペーパーテストを作って、他の4教科のようにテストをすることかもしれません。しかし、それでは読む・聞く・書く・話すの4技能を測ることはできません。受験が4技能化していく中で、その選択肢はありえないでしょう。一番理想的なのは、パフォーマンス評価。CAN-DOリストに従い、教師が生徒を観察して、どこまでできるのか、何が課題なのかを評価していく形、教師の力量が大きく問われる方法です。また、本人がどこまで「できる」と自分で自信を持っているのか、自己評価もまた重要だという話がありました。
ここからは私の個人的な意見ですが。
日本人が教え、ペーパーテストではなくパフォーマンス評価を行う通信簿に、果たして世のお母さん方は納得してくれるでしょうか?
現場の声を聞くと、一番の強敵はお母さん方だと言います(笑)
「うちの子に変な英語を教えないでください」、「テストもしないで、こんな評価つけないでください」、そんな声が今から聞こえてきそうです。
お母さん方を納得させる最適な方法は、ネイティブが教え、ネイティブがペーパーテストを行って、それをもとに評価をつけることだと思われます。
では聞きます。ネイティブって、一体誰ですか?
夏休みにロスに行ってきましたが、電車内で聞こえる声はスペイン語ばかりでした。
アメリカ人なら英語のネイティブですか?金髪なら全員ネイティブですか?
私も一人の母親として、私たち親世代のマインドがグローバル化することも、子どもたちの教育を考えていく上で、大切だなとつくづく感じました。
そして、英語教育に携わる身としては、自らの英語力を磨き、お母さん方に反論できる実力を身につけなくてはいけないな、そう思い身を引き締めて帰途につきました。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。